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戦前まで日本で一番高い山は富士山ではなかったってホント?

写真はWikipediaから参照 新高山(玉山)

日本の歴史には知られざる出来事が数多く存在します。その中でも、太平洋戦争前に存在した山について今回見ていきたいと思います。その山とは「新高山(にいたかやま)」というものです。日本のどこかにありそうな山の名前ですよね。じつはこの新高山は、富士山をも凌ぐ高さであり、太平洋戦争の敗戦までは日本人にとっての誇りとしていた山でした。しかし今は違います。どういう事でしょうか。

 

新高山は、台湾にあります。台湾は1895年、日本が日清戦争で清に勝利した結果、日本の領土となりました。日本初の植民地となった台湾には、日本風の神社や和風の木造建築が建設されています。その他、中華民国総統府や台湾銀行本店なども日本の統治時代に造られ、現代も使われています。

 

1945年、太平洋戦争で日本は敗戦し、台湾の領有権を中華民国に返還しました。ですから50年間台湾を統治していたことになります。台湾は地図で見ても小さな島ですが、その中央にそびえる玉山は3952メートルもの標高を誇り、富士山よりも高かったのです。この山は明治天皇によって「新高山」と名付けられ、新聞や学校の授業で紹介され、国民の間で誇りとされていました。そして学校でも新高山を日本一の山として教えていました。

 

太平洋戦争緒戦の真珠湾攻撃において、大日本帝国海軍は重要な命令を「ニイタカヤマノボレーニ〇八」という暗号で伝えました。この「ニイタカヤマ」こそが、富士山よりも高い新高山を指していたのです。まさしく当時の日本人にとって、この山は象徴的な存在であり、国の誇りを表していたのです。

 

しかし、日本が戦争に負けると台湾の領有権が中華民国に返されます。そのため新高山は日本一の山ではなくなってしまったのです。戦後に台湾を統治した中華民国によって、「新高山」の名前は玉山に変更されました。その後、歴史の中でこの名前は徐々に忘れ去られ、富士山が再び日本一の高峰として注目されるようになっていったのです。

 

新高山の存在は歴史の一ページに埋もれつつありますが、その高さや重要性は忘れてはなりません。台湾の玉山は今でもその美しさで多くの登山者を魅了し、かつての名前を持つ山として歴史の奥深さを感じさせてくれます。ちなみに日本統治時代の1番高い山が新高山(玉山)なら2番が富士山かと思いきや、2位も台湾にある雪山(日本統治時代は「次高山」)の3886メートルです。台湾はかなり高い山があるんですね。

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