毎年3月になるとJRのダイヤ改正が行われます。2024年の目玉は何といっても北陸新幹線の敦賀までの延伸です。ニュースでもかなり取り上げられていました。関東圏の方には敦賀といっても聞き慣れない地名かもしれません。敦賀は福井県にある都市です。では、敦賀まで北陸新幹線が延伸したことで何が変わったのでしょうか。
今まで、敦賀に行こうとすると、東京から東海道新幹線に乗って滋賀県の米原駅を経由し、そこから在来線特急「しらさぎ」に乗り換えて敦賀まで行っていました。乗り換え時間を含めなければ最速2時間50分で着きます。なら、北陸新幹線が延伸したことで所要時間は短縮されたのでしょうか。
じつは、北陸新幹線の方が時間はかかっています。直通で行けるので乗り換える必要が無いのは楽でいいのですが、最速3時間8分ということで、乗り換えがスムーズにいけば東海道新幹線を使った方が早いのです。そして値段も東海道新幹線を使ったルートの方が1,890円ほど安くなります。
北陸新幹線の方が時間はかかり、値段も高いとなると直通であること以外にはメリットは無さそうに思えます。でも本当にそうでしょうか。
東海道新幹線は約60年前にできていて、線路の下は盛土で固めている部分が多くあるので、大雨が降ると崩れる可能性があります。そのため、高頻度で点検しなければなりません。また、岐阜県の関ヶ原付近では大雪によってたびたび運休になっています。米原から敦賀に向かう北陸本線はどうでしょうか。北陸本線は琵琶湖の東側に沿って走っていきますが、その区間は風が強く、冬場は吹雪によって運休になることがあります。
対して、北陸新幹線はアルプス山脈を迂回するルートなので時間はかかってしまいますが、トンネル区間が多く雪の影響は受けづらいです。そしてすべての区間が高架ですので、雨によって崩れるという心配もありません。あまり運休が無いのが良いですね。でも一番のメリットは、東京へ向かう2つのルートができたことでしょう。一つがダメでも、もう一つの代替ルートがあるというのは安心感があります。
ちなみに北陸新幹線が福井県に延伸されるまでは、福井県には新幹線の駅も無ければ、定期便が飛ぶ空港もありませんでした。しかし新幹線が通るようになってグンと東京が近くなりましたね。もともと福井県は関西色が強い地域でしたが、東京に1本で行けるようになったことで、旅行やビジネスによる人の移動が変化していくことでしょう。残るは三重県と奈良県だけが東京へ直通で行ける新幹線と空港がない県となりました。