答え:騒音公害が少なく、発着時間の制約もない。また用地も確保しやすいから
2018年の強烈な台風の影響で関西国際空港が水浸しになった映像が流れました。滑走路に海水がバシャバシャと波立つ様子はとても驚きました。関西国際空港は大阪湾の中にあるので、まさか津波のように海水が入ってくるとは思わなかったでしょう。想定外の出来事だったに違いありません。
羽田空港や中部国際空港、那覇空港、長崎空港、神戸空港など海に近い空港は多数あります。しかし、なぜ日本の空港の多くが海の近くに建設されているのでしょうか?
空港の近くに行くと旅客機の離発着の音に驚かれた方もいるのではないでしょうか。「キーン」というような高音を響かせていたり、「ブーン」というような音を出す旅客機もあります。もし空港が市街地にあったら近隣の住民は騒音で悩まされるに違いありません。市街地にある伊丹空港や福岡空港は近隣住民に配慮して利用時間を制限しているのです。その点、海上にあるなら騒音はさほど問題にはならないのです。離発着も海側にアプローチすればいいからです。
日本は山が多く平地が少ないので、海上に埋め立てることによって用地を確保することもできます。そうすることで比較的都心部の近くに空港を造ることができるのです。成田空港は陸地に造ることができましたが、都心部から遠いという欠点もあります。そして土地の所有者との話し合いなどで揉めることもありました。成田では開港するにあたり激しい闘争が何年も繰り広げられ、この闘争で警察官も亡くなっています(三里塚闘争)。今でも成田空港の敷地内には建設当時から立ち退いていない家が存在しているので航空写真で見てみてください。
成田空港建設で揉めに揉めたので、都心部に近い場所では海上に空港を建設するのが多くなりました。確かに近隣からの苦情は少ないかもしれませんが、海を埋め立てる必要があるので莫大なお金がかかります。地盤沈下しないために改良工事をする必要もありますし、海鳥が多いのでエンジンに入り込まないよう追い散らさなくてはなりません。そういったデメリットもあるのです。
空港は国内、国外問わず多くの人や物が行きかっています。またたくさんの雇用も生み出しています。今では私たちの生活になくてはならないものとなっているのです。皆さんが利用している空港はどんな空港ですか。海上にある空港でしょうか。それとも内陸にある空港でしょうか。富山空港のように河川敷沿いにある空港もありますし、茨城空港のように自衛隊と共用で使用している空港もあります。もし次に空港を利用する機会があるなら、自分の利用する空港にはどんな特徴があるのか調べてみると面白いかもしれませんね。