2021年の4月22日に横浜みなとみらいに日本初の都市型循環式ロープウェイ「YOKOHAMA AIR CABIN」が運行しました。桜木町駅前と横浜ワールドポーターズ前を結んでいます。このロープウェイによって桜木町駅と新港エリアへのアクセス利便性が向上し、横浜の魅力的な景観を楽しみながら移動ができるようになりました。
ロープウェイはスキー場など山にありますが、都市部にあると景色も楽しめるし便利なのでは、と感じました。建設費も安く、通勤にも観光にも仕えそうです。しかし都市部にモノレールはあってもロープウェイはありません。なぜ都市部に造らないのでしょうか。
①カーブ問題
一般的なロープウェイは、ロープに固定されているゴンドラをロープ全体ごと動かす仕組みになっています。そのため、ロープを途中で分岐したり、カーブを設けたりすることが不可能でした。言われてみればロープウェイはまっすぐですね。もし都市部でまっすぐだけしか進めないとしたらすぐにビルにぶつかってしまいます。
②強風に弱い
ロープだけで支えているので、強風が吹くと走行できなくなります。都市部ではビル風なども吹きますので止まってしまうことも多くなるでしょう。公共交通として頻繁に止まってしまっては難しいのではないでしょうか。
③輸送力の問題
ロープ上に決まった数のゴンドラしかないので、多客時には乗客をさばききれません。参考としてYOKOHAMA AIR CABINの輸送量は毎時片道2,400人を運べるとしています。12秒間隔で8人乗りのゴンドラがやって来ます。対して山手線の場合は、11両編成で計1724人が定員となっています。これは立っている人と座っている人とを合わせての人数です。ラッシュ時はおよそ150%の乗車率となるので、単純に2586人が乗車していることになります。おおよそ2分待てば電車がやって来ます。ロープウェイと鉄道の比較は難しいですが、鉄道の輸送力には全然敵いません。
④スピード
YOKOHAMA AIR CABINのロープウェイの速さが秒速2.51mなので、全長630mにかかる所要時分は約250秒(4分10秒)です。観光ならいいかもしれませんが、通勤通学となるとスピードが遅いですね。
都市部でロープウェイをしようとすると難しそうですが、ニューヨークには通勤でも使われているルーズベルト・アイランド・トラムウェイというロープウェイがありますので、場所や利便性などが考慮されれば日本の都市部でも敷設できるかもしれません。
現在は2本のロープにぶら下がる「フニテル」というものもあります(箱根ロープウェイなど)。ロープを2本にすることで風に対する安定感もあり、段差や隙間を無くせるためバリアフリーも可能となっています。まだまだ都市部に設置するには課題はありますが、設置費用も格段に安いので横浜以外でも乗れるようになると面白いですね。