貴殿のふとした疑問に答えるブログ

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奈良公園の鹿のウンチが少ししか落ちていないのはなぜ?

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写真:センチコガネ

 

皆さんは奈良公園に行ったことがあるでしょうか?奈良公園といえば奈良県を代表する観光地でもあります。近くに東大寺や春日大社もありますね。そして奈良公園といえば“鹿”ですね。この鹿たち(ニホンジカ)は国の天然記念物に指定されている野生動物で、だれかによって飼育されている動物ではありません。人間に慣れていますが野良ネコならぬ野良ジカということになりますかね。

 

実はこの鹿たちは西暦750年にはこの地に存在したと万葉集に記載されているそうです。ずいぶん昔からいたとは驚きです…。そして現在は約1200頭が公園内に生息し、夜も公園内で寝ています。

 

さて、1200頭もの鹿たちは生き物です。当然ウンチをしますよね。行かれた方は分かると思いますが、1200頭いるわりにウンチが少ないと思いませんでしたか?(鹿のウンチなんか気にしないですかね)。一日のウンチの量は約1トンと言われています。これを人間が掃除するとなると費用も労力もかかってしまいます。

 

人間がほとんど掃除しないのに鹿のウンチがあまり見当たらないのには訳があります。それは意図的に糞虫を公園内に住まわせているからです。どういうことでしょうか?糞虫とは代表的なものにフンコロガシがいます。後ろ足でウンチを丸めて転がす虫です。日本にはそのタイプはいませんが、見た目はコガネムシと言えば分かりやすいですかね。糞虫は食糞性コガネムシとも呼ばれています。

 

この糞虫は新鮮なウンチがあると、どこからともなく匂いを嗅ぎつけてあちこちから集まってきます。そして鹿たちのウンチを糞虫が食べて、今度は糞虫が出したウンチを土壌微生物が分解して、それらは芝生の養分となります。で、また鹿たちが伸びた芝生を食べてウンチをする、この生き物たちの共生関係で奈良公園は維持されています。ウンチの清掃費用や芝の手入れを委託すると100憶円くらいかかると言われていますので、糞虫によってかなりの費用が浮いていることになりますね。

 

奈良公園では50種近くの糞虫を確認することができます。他にも鹿が多い金華山(宮城県)や宮島(広島県)にも糞虫は多く生息しています。鹿と糞虫は持ちつ持たれつの関係なんですね。

 

今回は普段スポットを浴びない糞虫について考えました。こんど奈良公園に行った際には鹿だけでなく、どこかにひっそりとたたずんでいる糞虫を探してみるのはいかがでしょうか。ちなみに、奈良公園の近くに糞虫を展示・研究する「ならまち糞虫館」がありますので、一度見学に行ってみると新たな発見があるかもしれません。

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