貴殿のふとした疑問に答えるブログ

ふと疑問に思う「なぜ?」「どうして?」「〇〇って何?」に答えるブログです。

スズメが国中からいなくなったらどうなると思う? 中国で大実験した結果…

冬場のまるまるしたスズメは何とも言えずかわいらしいですよね。そんなスズメが中国からいなくなったことがありました。なんでいなくなったのでしょうか。いなくなった影響はどんなものだったのでしょうか。

 

今から60年以上前に中国でスズメがいなくなりました。といっても自然に減少したのではなく、人間の手によって撲滅させられました。なぜそんなことをしたのかと言うと、毛沢東が「スズメを撲滅せよ」と指示をしたからです。スズメは伝染病を媒介し、穀物の種子や果物を食べてしまうということで、毛沢東は国中に号令をかけてスズメ撲滅させようとしました。食料供給の妨げとみたのです。

 

その号令に対して市民もそれに従わなければなりません。音の出るものをたたいてスズメが木の枝で休ませず、疲れたスズメは空から落ちて死ぬようにしました。加えて、巣を壊し、卵を割り、雛を殺しました。これが中国中で行なわれたのです。スズメをたくさん退治した者には報酬が与えられたのです。5年間で何十億羽ものスズメが殺されたのです。

 

スズメがいなくなった結果、スズメが食べていたイナゴやイモムシなどの数が急激に増えました。それらの虫は農作物を食べつくしてしまったのです。とりわけイナゴは大挙して田舎に押し寄せ、大量の穀物を食べつくしていきました。スズメ撲滅運動前よりも米の収穫量が減ってしまったのです。

 

中国政府はどうしたでしょうか。今度は森林伐採や農薬によってそれらの虫の退治を始めます。しかし劇薬を使ったため農作物が汚染され、それを食べた人間は中毒を起こしてしまいました。そして中国中から食べ物がなくなり、結果として1,500万人から4,500万人が飢餓で亡くなってしまいました。スズメを殺して残ったのは、食糧不足と環境破壊だけだったのです。

 

毛沢東の偏った見方によって多くの犠牲を払うことになりました。その後、撲滅運動が誤りだったことを認めスズメ撲滅運動は終わりましたが、スズメは激減してしまったので、ソ連からスズメ25万羽を調達するハメになったのです。この出来事から学べる点としては、生態系のバランスが崩れると種の絶滅や人間への影響が生じるということです。日本にいるスズメも大切にしないといけないですね。

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