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高速バスを発達させた“共同運行スタイル”って何?

写真はwikipediaから参照 阪急観光バス

高速バスは、バス会社にとって重要な収益源となっていますが、その歴史は比較的浅いものです。高速バスの歴史は、路線バスや観光バスに比べて新しいものとなっています。なぜなら1960年代前半まで日本に本格的な高速道路がなかったためです。当然のことながら、高速バスが誕生し、発展したのは日本国内の高速道路網が整備されてからのことです。

 

最初のころ、高速バスは主に国鉄バスが運営していましたが、1983年に大きな変化が起こりました。関西の阪急電鉄と九州の西鉄が共同運行による高速バス「ムーンライト」を大阪~福岡間で運行し始めたのです。ここでいう共同運航とは、公共交通機関において複数の交通事業者が連携して、運賃体系や便数、ダイヤなどを調整し、共同して運行することです。飛行機で言えばコードシェア便になります。

 

共同運行ができたことはバス業界にとって凄いことでした。長距離の高速バスを単独で運行すると、多くのコストがかかりますが、共同運行にすることで大幅なコスト削減が可能になるのです。

 

例えば、大阪のバス会社が単独で福岡までの高速バス運行を企画したとしましょう。この場合、福岡にバスを停車・整備できる拠点を作る必要があります。また、福岡発の高速バスの宣伝も必要です。地元の大阪ではお客を集められても、知名度の低い福岡では十分な宣伝をしなければ、福岡発の便が空いてしまう恐れがあるからです。

 

こうしたコストを軽減するために生まれたのが共同運行の発想でした。大阪のバス会社が福岡のバス会社と提携すれば、福岡のバス会社のバス停や車庫をそのまま利用できます。福岡での宣伝は福岡のバス会社に任せて、自社は大阪での宣伝に力を入れれば良いのです。とても効率的ですよね。

 

また、関西と九州の私鉄が手を結んだ高速バス「ムーンライト」は、国鉄バス以外では初の夜間運行バスとなりました。このバスは、1983年に中国自動車道が全通したのをきっかけに、近畿と九州を高速バスで結ぶために生まれました。これは従来の夜行バスの概念を変えるもので、十分なリクライニング機能、全席にオーディオ機能、ドリンクコーナーも設けられ、従来の夜行バスに比べて圧倒的に快適で、価格の安さも魅力的でした。

 

「ムーンライト」の大ヒットを見て、全国のバス会社が次々と同様のサービスを始めることになりました。東西南北のバス会社がさまざまに提携し、日本列島は本格的な高速バス時代を迎えたのです。

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