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着陸時に大型旅客機が機首を上げるのはなぜ?

写真はwikipediaから参照 着陸時のフレア操作

大型飛行機が着陸する時、ドシンという揺れを感じます。これは地面とタイヤがぶつかった時に起こる振動です。この振動を感じると、無事に到着したんだと感じます。しかしこの振動はメインギア(後ろのタイヤ)が地面に接地しただけで、実はノーズギア(機首下のタイヤ)はまだ接地していません。なぜなら、滑走路に接地寸前に飛行機の機首を上げているからです。では、何のために機首を上げるのでしょうか。

 

答えから言うと、飛行機の速度を落とすためです。飛行機は上空で飛んでいる時は時速900kmですが、着陸時は時速240kmにまで速度を落としながら着陸しています。かなりスピードを落としているのが分かりますね。着陸が近づくにつれ、フラップ(高揚力装置)を翼から出し、風の抵抗を多くすることで徐々に速度を落としていきます。そして着陸寸前に機首を上げて、さらに速度を落とすのです。

 

この機首を挙げる操作をフレア操作と言います。飛行機は、飛行中は機首を上げると揚力が増します。離陸時がそうですね。しかし、ある角度以上に機首を上げると逆に揚力は減少してしまいます。この角度を「迎え角」といいます。これを着陸時に行なっているのです。迎え角を大きくすることで、降下しつつ速度を減少させているのです。そうすることで着陸の衝撃を和らげる効果があります。これをソフトランディングといいます。

 

もし、ジャンボジェット機が機首から突っ込んだ場合、エンジンを切っていたとしても重力による加速が大きくなってしまい、速度超過になってしまいます。機体に大きな衝撃がかかり、機内の揺れや機体の破損にもつながってしまうでしょう。つまりハードランディングです。対して、セスナ機などの小型の飛行機はフレア操作をしません。飛行中と着陸の速度があまり変わらないので、機首を下げた状態で滑走路に向かったとしても加速することはないのです。

 

このフレア操作は風を考慮してエンジンを調整する必要があるため、離陸よりも難しいといわれています。風の強さも毎回違いますし、横風が強い時もあります。これらを加味して平然とやってのけるパイロットたちには本当に感謝ですね。

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